映画「フェイク」(1997年)~湯村紗瑛

【1997年】

映画「フェイク」

FBI秘密捜査官が6年にわたりニューヨーク・マフィアに潜入、その実態を暴くまでを、事実に基づいて映画化した人間ドラマ。

ジョニー・デップ、アル・パチーノという新旧演技派のぶつかり合いは見どころ十分だ。

マフィアへの潜入捜査を命じられたジョー・ピストーネ(デップ)は、ドニー・ブラスコの名で、組織の幹部レフティー(パチーノ)に接近。

ドニーを認めたレフティーは、彼をボスのソニー・ブラック(マイケル・マドセン)に紹介、次第に頭角を現す。

ドニーの活躍は即、FBIの成果にもつながり、当初6カ月だった潜入期間は2年、3年と延長。

いかに正義感の強いドニーといえども、残した家族にも任務を明かせないジレンマが、焦りとなって表面に噴き出していく。

マフィアへの忠義と家族への愛。相反する2つの感情を使い分け、男の生きざまを見せつけたデップが出色。

対するパチーノも、組織の中で道を外れていく男の寂しさを"巧演"、ベテランならではの存在感を放つ。

マイク・ニューウェル監督はあえて2人のきずなに絞り込みドラマを構築。この選択がズバリとはまり、全編にわたって心地良い緊張感が漂う。

アカデミー賞の脚色賞にノミネートされた。

★アカデミー賞
脚色賞ノミネート
http://eigaz.net/adapted/

湯村紗瑛